1.唯一無二の恋愛体験を描いた『スペアのない恋』

僕が見たかった青空の新曲『スペアのない恋』が高い評価を得ている。本ブログではこの楽曲について考察してみたい。

『スペアのない恋』というタイトルからも想像つくように、一度きりとか、替えの効かない、唯一無二といった恋愛経験をテーマに作詞されたと思われる。作詞を担当する秋元康氏の手法としては決して新しいものでもなく、いくつかある切り口パターンの一つといった印象だろうか。

新曲は、主にかつての欅坂46や現在の櫻坂46への楽曲提供で確固たる存在を示すナスカ作曲を担当している。初期の乃木坂46を彷彿させる透明感とジャンル感、美メロディラインが印象的でこのグループにとっては大きな一石となる良曲。清純派王道キャッチーな楽曲進行ながらサビに向かって順調に聴き手の感情を揺さぶっていく。制作的には「困った時のナスカ需要」的な役割を今回も見事に果たしてくれた形だろうか。

『スペアのない恋』はリリースから間もないが、多くのレビューで高評価を受けていることからも、その曲の力の大きさがうかがえる。心に残るメロディがこれからどこまで多くの人々に愛され続けるか、今後のさらなる飛躍に期待したい。

2. メロディラインとリズムの特徴

「スペアのない恋」の特徴は圧倒的にその上質なメロディラインにある。

一般的には秋元氏プロデュースのアイドルグループということで、歌詞の表現や世界観にまずは注目が集まりがちだが、少なくともこの曲については歌詞は可も不可もない印象で、時間があれば音楽ファンとしてはもっと攻められたのではないか?という気持ちも否めない。決して悪くはないが秋元氏ほどの実力者ならばもっといけたはず、という余地を感じてしまう。

一方で曲はというと、いわゆる王道だが、このジャンルは逆にいえばこれまでに散々使い古されているがゆえ、新たなリリースでの差別化は非常に難しい。よほど良くできたシンプルでキャッチーなメロディーでなければ、過去の名作に太刀打ちすることは困難だ。その難題をクリアしていると初見で感じさせる時点で大きな評価に値するといえるだろう。ゆえにリリース当初から、多くの音楽評論家やファンがこの要素に注目し、高評価を与えているのだ。

3. 乃木坂46公式ライバルとしての立ち位置

僕が見たかった青空はそもそも乃木坂46の公式ライバルとして発足した。乃木坂46もAKB48の公式ライバルという斬新な企画コンセプトを引っさげてデビューしたが、当時は誰も現在の乃木坂の躍進を想像していなかった。

一方でデビュー当時から高品質な楽曲を連発し、とくに初期の楽曲では多くの音楽ファンを魅了した。そんな乃木坂46に対し「公式ライバル」の称号を持つ僕が見たかった青空は、一体どのようにその地位をこれから固めていけるだろうか。現時点でその雲行きにはなかなかの重さが垣間見える。

公式ライバルという言葉は非常に重い。この言葉が持つ意味は、ただの競争相手ではなくその存在自体が乃木坂46と肩を並べる、もしくはそれ以上の影響力を持つことを暗に示し、期待値を上げてしまう。ましてやかつての乃木坂がやってのけた下克上物語の歴史が刻まれた今となってはどうしてもそれを重ねて見られことを避けられない。

今回の新曲「スペアのない恋」はたしかに楽曲クオリティが非常に高い。しかしながらそれが乃木坂46を彷彿させるものであるという点では、公式ライバルという立ち位置であるはずのこのグループの在り方がとして、いくらか疑問も残る。

今作の評価が高いからと言って、ただこの路線を延長するだけではグループとして唯一無二の要素を形成することは難しく、躍進への突破口が開かれる可能性はますます低くなるのではないか?今回の前進はあくまで現実的な立ち位置とは無関係に、曲の品質の高さがもたらした一つのきっかけであって、グループとしては構築を目指すべき課題がいくつも残されているのではないだろうか。

4. まとめ〜グループの課題

「スペアのない恋」の歌詞は一見して絶対的唯一無二の恋愛体験をテーマに書かれているが、もしかするとそれは今後のグループの在り方へのメッセージとも解釈できなくはない。

ただしこれは完全に聴く側の勝手な飛躍解釈であって秋元氏がそんなメタファーを意図してこの歌詞をつけているとも思わない(結果として少々想像力が過ぎるリスナーがそんなことを言いだすかも?くらいの想定はあるかもしれない)。

僕青に限ったことではなくどのグループにとっても、スペアのない存在になることはつねに最大の課題だ。

乃木坂の公式ライバルとしてデビューした僕が見たかった青空だが、その大義を果たすことはもとより、そもそもグループとしてより多くの受け手にとってスペアのない存在になれるかどうか、そうなるにはどうすればいいか、まだまだ追いかけるべきテーマは尽きない。

楽曲についてはメンバーが選べるわけでもなく、運営に携わる大人が選定する以上、本人たちの力だけではどうしようもない部分も大いにある。それも含めて「運も実力のうち」と言われてしまえばそれまででもあるのだが。

ともあれ、楽曲の方向性も含めてその立ち位置探しは迷走中という印象の僕青。
今回の「スペアのない恋」をきっかけに課題を今後どこまでクリアし音楽業界に新たな歴史を刻んでいけるか、音楽ファンとして少なからず興味がある。



デビュー以来、個人的には活動も楽曲もパッと突き抜けない状況続きだった印象のこのグループ.今作はなかなか良い気がする。

かつて乃木坂がAKB公式ライバルとしてデビューした時、数年後まさか乃木坂が当時全盛期だったAKBをおさえて本当に大天下を獲るなんて誰も思ってなかった。

時代の風が完全にその後の坂道グループへと向いていったことを皆が知ってる今、僕青のデビューには少なからず多くのアイドルファンが注目していたに違いない。

新シングルがどこまでこの状況を後押しできるか?音楽ファンとしてはちょっと見ものなのである。




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